Motorcycles

 脱ラブ・タンデム

タンデムですか、よろしおますなぁ──。 テレビをつければ、そんな格好でどこまで行くつもりだというような軽装で、おまえらホントに好き合ってんのかみたいなカップルが防風性能どこ吹く風のローシェイプな青いビッグスクーターに乗り、高規格道路をすっとば…

 ビアッジさんに教えよう!

いきなり漫画の話で恐縮だが、80年代バイク漫画の金字塔『バリバリ伝説』の中で、僕が特に好きなシーンがある。第3部にあたるWGP編で、主人公・巨摩郡のライバルであるラルフ・アンダーソンが第4戦ポールリカールで巨摩に僅差で破れた後、本拠地であるヤマ…

 GはガッチリのG

先日の転倒で、使っていたSIDIのライディングブーツ「Vertebra2」のくるぶしのスライダー*1がベースごと吹っ飛んでしまった。SIDIのブーツはプロテクター類のほとんどがビス止めで交換できるようになっているのだが、プラスティックの下地部分に埋め込んであ…

 病膏肓

土曜日、午前6時。昨シーズンの終わり以来4ヶ月ぶりとなる伊豆。一時間ほど前に夜が明けたばかりの辺りの空気は、まだ何も混じりけがなく澄みきっている。僕は料金所で500円を渡すと、CBRのスロットルをひと開けして箱根ターンパイクを駆け上がった。 シー…

 スピード狂のアメリカ人

まず酒を用意してほしい。ビール、日本酒、ウィスキー、焼酎……あなたが美味しく飲めるものならなんでもいい。もし下戸ならば仕方ないから、たばこのみであれば新品のパックを用意。それも無いなら浮世を忘れる高級チョコレートを傍らに置くといい──DVDをトレ…

 青春ハイサイド

大型はおろか二輪免許も持っていなかった友人が、突然CBR1000RRのレプソルカラー仕様をオーダーした様子は以前のエントリーで書いたのだが、その彼がなんと周囲の予想を裏切って2ヶ月ちょいで大型二輪免許を取得した。 稼ぎもいいかわり昼も夜もないような多…

 カミソリ対サーフィン

無上の伴侶と信じていた相手ですら、遠く離れ続けていればいつしか情熱も途切れがちになり、そのぬくもりも思い起こせなくなってくる──そんな感じにも似て、思うようにバイクに乗れない日々が続く僕はここのところ、ある“不実”な想いに浮かされつづけていた…

 発火点

F1のモナコGPやマカオGP、そしてマン島のTTレースに至るまで、およそモータースポーツの楽しみを知るものにとって「公道レース」という響きには特に心躍るものがある。普段暮らしていた道路が封鎖され、見慣れた交差点がコーナーに変わり、なんでもないバル…

 好きなのよ

「好きなのよ……カワサキが!」 おっと、笑うところじゃない。僕はそう思いながらも、映画の舞台となる70年代から遠く隔たった現在を──ZX-RR、そして中野真矢選手の顔を思い浮かべて苦笑せずにはいられなかった。今も昔も、こんなセリフが似合うメーカーは他…

 Aoyama Revisited

ああ、僕はまたここに来てしまった──。 途中下車の魅力。パスネットの気軽さ。ホンダファンの“聖地”、ここウェルカムプラザ青山は、地下鉄銀座線の青山一丁目駅、僕の仕事場の一つ手前にある。ちょっと自分がずれてしまったな、と感じると、僕はふとここに来…

 心震わ“さない”テクノロジー

行きつけのネットワーク店から「CBRの交換用ミドルカウルが届いた」との連絡があったので、さっそく店に赴いた。9月の初頭、1000Kmちょっと走った頃からエアダクトの上部が茶色く変色し始めた件の対策だ*1。ありがたいことに、対策したカウルに無償交換と相…

 Route U(2)

(承前) さして内陸育ちというほどでもないのだが、それでも目の前に海が開けると「…海だ!」と当たり前のことを叫びたくなるような解放感がある。県道16号線に入ってしばし走ると、一気にフラットな水平線が目の前に現れて、思わず声を上げてしまう。 やは…

 Route U(1)

長雨にたたられた今秋シーズンの締めくくりにと、休みを取ってCBRを引っぱり出した。目指すは伊豆・箱根方面。しかし、今回のルートはいつもと一味違う。目的は、先月の宇川ツーリングのときに彼がよく行く「お勧め」として教えてもらったルート、勝手に名付…

 さらわれた限定車

GPファンというわけでもなく二輪免許も持っていないある友人から、一通のメールが来た。「CBR1000RRレプソルカラーは、まだ在庫があるのだろうか」とのこと。 いつか二輪免許を取りたいと聞いてはいたものの、ドゥカティとかSRとかスタイリッシュなシングル/…

 夢の旅路(2)

(承前) 集団は宇川徹にリードされて、猛烈な速度で中央道を飛ばしていく。デジタルメーターの速度計は普段めったに目にすることのない数字を表示している。目を上げれば、前方を行く宇川徹は軽く上体を起こし何の力みもなく居並ぶ車列をクリアしていく──そ…

 夢の旅路(1)

Is this real life?Is this just fantasy? ──僕は伊豆スカイラインの冷川ICに向かって、中伊豆の狭い山道をせっせと1000RRをくねらせながら走っていた。曇天の隙間から時折太陽が除き、心配されていたほど冷たくもない秋の空気がヘルメットのシールドの中を…

 Around and Around

交通安全運動週間に「バイクを封印する」とか書いたものの実はそんな気は無かったのだが、多忙のうちに本当に乗らずじまいになってしまった。しかもキャンペーン期間終了後の週末も秋雨前線に封じ込められ、なんと3週間以上もバイクに乗っていない。 もはや…

 封印の時

夢を見た。僕はバイクに乗って木立の間の舗装路を飛ばしている。山中の空気は澄み、風はナイロンジャケットを通して冷たく肌を刺す。「寒っ」と僕は思わずバイクの上で身震いする──。 寒いだって!?目が覚めた僕はびっくりして、短い夢を反芻する。まだ9月…

 茶色い影

CBR1000RRがやってきてからはや1か月、先週出かけたツーリング(『南アルプス街道』とは名ばかりのダンプ銀座!)でいよいよ本格的に汚れたこともあって、納車後初のちゃんとした洗車をやってみる。するとそのとき、奇妙なことに気がついた。 右側ミドルカウ…

 そりゃないぜ、ホンダさん!

と思ったのがコレ。ご存知の方も多いだろう。 http://www.motorcycle.com/mo/mchonda/04_05_Redbook/.full/05_CBR1000RR_Repsol.jpg 僕はあまり自分の愛車以外のバイクをうらやましいと思ったことはないのだけれど、これにはさすがにショックをうけた。しば…

 名車の予感

忙中バイクあり空から降ってきたニシンの群のように唐突で圧倒的な忙しさに追われて、ろくに走行距離が延びない。CBR1000RRの納車からすでに1か月近くが経とうとしているのに、現時点で600Kmと少し。慣らしを終えるにはまだ数百キロの延べ走行が必要だ。 500…

 Next Heavy Metal:

異なる選択思ったより長かった事故後の損害保障額の交渉もようやく決着し「そのままマシンを買い直すことなどもちろんできないが、それなりに納得のいく金額」で口座が膨らんでいる。体もわずかに首(というか咽の奥)に痛みを残すものの、ほぼ完調まで復帰…

 君よ、栄誉に胸を張れ

ワークス贔屓人間は、なぜ「もらい泣き」などする生物なのだろう。何ともなくフツーであるはずの時でも、相手が涙を見せた途端にこちらもなぜか目頭が熱くなる──。 第27回“コカ・コーラ”(←わざとつけてみる)鈴鹿8時間耐久ロードレース。さまざまな事情によ…

 青い玉

防衛機制あなたは本当にたいしたものね──というようなことを妻が言う。事故の当日、家に落ち着くともうバイク雑誌を読みふけっている僕に、半ばあきれているらしい。それなりに体を痛める事故を起こしたのに、恐怖や精神的ショックはぜんぜんないのか、とい…

 That's All Folks!

終わりの始まり事故に巻き込まれて気を失い、病院で目を覚まして「ここはいったいどこですか?」──そんなのはよく聞く話だ。しかし別に気を失っていなくたって、自分のいる病院がどこかなんて皆目見当がつかない。なにせ、救急車の中ってのは外が全く見えな…

 よくしゃべるCBR

梅雨の中休みとなれば、走っておかないわけにはいくまい。毎日夜中まで働いた甲斐あって、やっととれたぞ平日の休み。というわけで、オイルも新品の600RRを駆り出して、貸し切り状態の奥多摩へと出かけた。 前回ちょっとしたセッティングミスをしたこともあ…

 ボローニャからの贈り物

遅れてきた封筒「ボローニャからの」とタイトルでは書いているが、実際にはボローニャではなく東京都目黒区からの贈り物だ(笑)。ある日郵便受けを開けると、ドゥカティ ジャパンから届いていたのは、もうすっかり忘れていたDucati SportClassicシリーズの…

 死んだ峠

ライダー天国目論見を間違えた?……そんな筈はない。確かに前回、平日に休みをとって走りに来てから4日ほどしか経ってないこともあって渇望感が足らず、起床はいつもより遅れてしまった。しかし、奥多摩入りしたのがゲートオープンの30分後。いつも朝練組のバ…

 イギリス帰りの男

意外な過去僕が行きつけにしている美容室は、ほとんど人の通らない裏通りにある。置いてある椅子は二脚きり、スタッフも二人という小さな店だ。英ヴィダル・サスーンで修業して帰国後この店を開いたというオーナー兼美容師は、年の頃34、5歳、なるほど腕はい…

 Safety In The Shell

強迫的セイフティ“安全”というのはある意味「中毒」だ。一度プロテクター入りジャケットや脊椎パッドを使ってしまうと、それ無しで走るのはとても不安になる。脊椎パッドなど大げさだとは思っても、「40Kmで走っていたのに転倒時にガードレールの柱に背中か…