Autumn Wind

連休の二日目。次の月曜日は雨だとわかっていた。 CBRを引っ張り出して山へいくなら今日だ、とわかっていた。 午前4時。僕は鳴った目覚ましを止めて、もう一度目を閉じた。 疲れている?そうだ。今の仕事場の状況からすれば。 でも、違う。 僕は、少し、恐か…

 ドラゴン・スレイヤー

僕は「どこそこには魔物が棲んでいる」という言い草があまり好きではない。いかなる結果もチームやライダーの努力(あるいはミス)の積み重ねというモータースポーツのビターな側面が、そんな一言でなんだかキレイに片づけられてしまうような気がするからだ*…

 脱ラブ・タンデム

タンデムですか、よろしおますなぁ──。 テレビをつければ、そんな格好でどこまで行くつもりだというような軽装で、おまえらホントに好き合ってんのかみたいなカップルが防風性能どこ吹く風のローシェイプな青いビッグスクーターに乗り、高規格道路をすっとば…

 無題

よく行く小さなレストランで僕はそのニュースを聞いたまるで世界で一番固い岩について語るようにその人ははっきりと僕に言った彼をもう二度と、あの場所で見ることはないのだと 世界で最も尊敬されるエンジニアがつくった負けず嫌いの小さな会社彼らの作るマ…

 ラーメンモビスター・コニカミノルタ

普段民放などほとんど見ないのに、昨夜たまたまつけた番組が『どっちの料理ショー』。しかもラーメン対決と来たものだ。つばきを飲み込みながら見入るうち、勝利したのは新宿「麺屋武蔵」。対する神奈川の「中村屋」をひそかに応援していた僕としては複雑だ…

 モータースノーツ

年末進行にかまけて放置した上に仕事始めよりも遅い更新開始というABモータース、大変失礼いたしました。どうしていたかって、いやなにちょっとしばらく日本を離れておりまして。どこへ行っていたかというと、ヴァナ・ディール(笑)。 というのは冗談ですが…

 Secret Union

♪と〜きょうか〜んだあ〜きはばら〜、おかーちまちう〜えのうぐいすーだーに〜、にっぽりにしにっぽりた〜ば〜た〜、こーまごめ……。 と、“夕方クインテット”の『鉄道唱歌』*1でいえばここ、JR山手線の駒込駅。密集した駅前の商店街に下町の風情を残す、江戸…

 再開

I am the grand prix racer and I know just where I standAnother motorbike freak and another born shooterToday I am the champion, I may have owned the racetrackBut I know the game, you'll forget my name,And I won't be here in another seasonI…

 マイナス46

アナタノムネン、ハラシマス──二年前、亡き加藤大治郎のゼッケンをまとって神懸かり的なシーズンを過ごしたセテ・ジベルナウは、今度は9月初旬の負傷以来欠場を続けているトロイ・ベイリスの意趣を受け継いだつもりなのだろうか? XPDブーツのチタン製トゥス…

 空飛ぶウォトカ

10月に入って春以来続いた仕事の修羅場もようよう終了したはずなのに、不思議なことに時間がない。いろいろあるにせよ、まあこういう状態が“いっちょまえの大人”なのだってことにしておこう。 というわけで、かくも長き不在、のABモータース。大変失礼をばい…

 サイン三昧

いよいよ日本GPウィークが始まり、内心「きゃふ−ん」とでも叫びたいほど落ち着かないのだが、そこは大人なのですました顔で「お世話になります」などとクライアントにメールを書いている。 とはいえ、いかに仕事が忙しかろうとも、憲法で健康で文化的な生活…

 好き者たち

映画館離れが叫ばれ、利益構造がテレビ放映やDVDに移りつつあるとされて久しい。僕自身も(大学で映画を専攻しておきながら!)今や映画館に足を運ぶのは年に一、二度──しかも、それはヘタすれば子供の時に見たロボットアニメの再編集版というありさまだ(笑…

 最速の遺伝子

忙しいのは相変わらずだが、どうも尻の下がムズムズして落ち着かない。最近急にDucatiが欲しくてたまらなくなった。しかも、乗りこなすのに相当な熟練が必要な996シリーズ、それか998なんていい(厳しければ厳しいほど燃えるのだ!)。そう思い始めて、Webサ…

 ビアッジさんに教えよう!

いきなり漫画の話で恐縮だが、80年代バイク漫画の金字塔『バリバリ伝説』の中で、僕が特に好きなシーンがある。第3部にあたるWGP編で、主人公・巨摩郡のライバルであるラルフ・アンダーソンが第4戦ポールリカールで巨摩に僅差で破れた後、本拠地であるヤマ…

 ロッシの隠れ家

忙しい。すごく忙しい。お盆休み?何ですかそれ。海?ああ地上にはそんな場所もあるらしいですね。 わかっていて身を投じたどツボとはいえ、ここのエントリを書く時間すらロクにとれない日が続き、終わりの見えない余裕のなさにだんだん妄想気味になってくる…

 ボートレース

レーストラックを映し出すカメラのレンズを雨滴が覆い、まるで昔の吹きガラスの窓越しに見るように、風景のあちこちがゆがんでいる。イングランド中部の重たい空から落ちる雨の中をGPマシンが水しぶきをあげて駆け抜けていく様は、二週間前の晴れ渡ったカリ…

 Odds and Sods

ロッシ1.9倍、ヘイデン4倍、ジベルナウ5.5倍、メランドリ、エドワーズ10倍、ビアッジ18倍、ロベルト・ロルフォ400倍(!)──この数字は何かというと、“ジブラルタル系”オンライン・カジノ企業BetandWin.comにおけるイギリスGP公式予選結果のオッズである。こ…

 滋養強壮グランプリ

今シーズン前半戦の白眉(と言っていいだろう)、USグランプリがもう目の前だ。あの80年代の数々の熱戦の舞台となったラグナ・セカ、そして“名物”コークスクリューを現代のGPマシンが駆けるのかと思うと、かつてと比べ物にならないモンスターマシンへの一抹…

 続・渡されたバトン

もうずいぶん経ってしまったのだが、id:suikanさんより今度は「Book Baton」なるものが回ってきた(ところによっては“Reading Baton”と称しているところもあり、また質問項目も複数パターンあるらしい)。先日の「Musical Baton」の読書版なのだが、こと本に…

 ペンと線

私事で恐縮だが、マイサンが3歳児検診とやらに行ってきた。まあなんてことない定期検診なのだが、測定の順番などを待つ間、子供としては退屈だ。というわけで健康センターの職員がいろいろ相手をしてくれる。 そこである人に紙とペンを渡されてお絵書きをす…

 渡されたバトン

味わい深いブログタイトルをもつid:kanabowさんからMusical Batonなるものが“回って”きた。音楽にまつわる自分の軽いプロフィールをネズミ講式に回していくというものらしいのだが、普段「ブログっぽい」使い方の少ないこのABモータース。ぜひこの機会に一口…

 妄想(長文注意)

昼の二時だというのに、その通りには人影がなかった。密集して建つ家々のどこかの窓から、かすかにテレビの音が漏れ聞こえてくる。アレックスは路肩に停めた車から降り、窓を開け放したままドアを閉めた。鍵はかけなかった。住居のあるモナコに置いてある特…

 GはガッチリのG

先日の転倒で、使っていたSIDIのライディングブーツ「Vertebra2」のくるぶしのスライダー*1がベースごと吹っ飛んでしまった。SIDIのブーツはプロテクター類のほとんどがビス止めで交換できるようになっているのだが、プラスティックの下地部分に埋め込んであ…

 病膏肓

土曜日、午前6時。昨シーズンの終わり以来4ヶ月ぶりとなる伊豆。一時間ほど前に夜が明けたばかりの辺りの空気は、まだ何も混じりけがなく澄みきっている。僕は料金所で500円を渡すと、CBRのスロットルをひと開けして箱根ターンパイクを駆け上がった。 シー…

 25ポイントの値段

もはやコントロールタワーは、レースを止められない──“コースのあちこちで振られる白旗は警告ではなく、オフィシャルがレースを中断するという判断を放棄した“降参”の合図だ”──こんなニュアンスの一齣マンガが乗ったのは、Crash.netだ。 それもそのはず、レ…

 Water in the Glass

“コップの水をこぼすのはいったい誰だ?”──いよいよ開幕した2005年MotoGP開幕戦、スペインGPを観ながら僕の頭に去来していたのはそんなセリフだった。 序盤数周目にして40秒台中盤に達そうかという先頭集団──セテ・ジベルナウ、ヴァレンティーノ・ロッシ、ニ…

 ラストチャンス

いよいよ開幕まで後一日と迫った2005年シーズンMotoGP。僕なりに来るべきシーズンを占うとすれば──おっと、そんなことがまったくもってばかばかしくなってしまったのが昨シーズンの(もっといえば緒戦南アフリカGPの)教訓だ(苦笑)。しかしながら頭から離…

 スピード狂のアメリカ人

まず酒を用意してほしい。ビール、日本酒、ウィスキー、焼酎……あなたが美味しく飲めるものならなんでもいい。もし下戸ならば仕方ないから、たばこのみであれば新品のパックを用意。それも無いなら浮世を忘れる高級チョコレートを傍らに置くといい──DVDをトレ…

 青春ハイサイド

大型はおろか二輪免許も持っていなかった友人が、突然CBR1000RRのレプソルカラー仕様をオーダーした様子は以前のエントリーで書いたのだが、その彼がなんと周囲の予想を裏切って2ヶ月ちょいで大型二輪免許を取得した。 稼ぎもいいかわり昼も夜もないような多…

 戦え!R1

青梅市は東京都の西端、感覚的には「ここを越えたら奥多摩」とも言える場所にある地方市だ。しかし、単なるJRローカル線の一駅だと思っていると驚くことになる。街のあちこちが復刻された古い映画看板で飾られ、昭和レトログッズの博物館や古い蔵を利用した…