MotoGP

 ドラゴン・スレイヤー

僕は「どこそこには魔物が棲んでいる」という言い草があまり好きではない。いかなる結果もチームやライダーの努力(あるいはミス)の積み重ねというモータースポーツのビターな側面が、そんな一言でなんだかキレイに片づけられてしまうような気がするからだ*…

 無題

よく行く小さなレストランで僕はそのニュースを聞いたまるで世界で一番固い岩について語るようにその人ははっきりと僕に言った彼をもう二度と、あの場所で見ることはないのだと 世界で最も尊敬されるエンジニアがつくった負けず嫌いの小さな会社彼らの作るマ…

 ラーメンモビスター・コニカミノルタ

普段民放などほとんど見ないのに、昨夜たまたまつけた番組が『どっちの料理ショー』。しかもラーメン対決と来たものだ。つばきを飲み込みながら見入るうち、勝利したのは新宿「麺屋武蔵」。対する神奈川の「中村屋」をひそかに応援していた僕としては複雑だ…

 Secret Union

♪と〜きょうか〜んだあ〜きはばら〜、おかーちまちう〜えのうぐいすーだーに〜、にっぽりにしにっぽりた〜ば〜た〜、こーまごめ……。 と、“夕方クインテット”の『鉄道唱歌』*1でいえばここ、JR山手線の駒込駅。密集した駅前の商店街に下町の風情を残す、江戸…

 マイナス46

アナタノムネン、ハラシマス──二年前、亡き加藤大治郎のゼッケンをまとって神懸かり的なシーズンを過ごしたセテ・ジベルナウは、今度は9月初旬の負傷以来欠場を続けているトロイ・ベイリスの意趣を受け継いだつもりなのだろうか? XPDブーツのチタン製トゥス…

 サイン三昧

いよいよ日本GPウィークが始まり、内心「きゃふ−ん」とでも叫びたいほど落ち着かないのだが、そこは大人なのですました顔で「お世話になります」などとクライアントにメールを書いている。 とはいえ、いかに仕事が忙しかろうとも、憲法で健康で文化的な生活…

 好き者たち

映画館離れが叫ばれ、利益構造がテレビ放映やDVDに移りつつあるとされて久しい。僕自身も(大学で映画を専攻しておきながら!)今や映画館に足を運ぶのは年に一、二度──しかも、それはヘタすれば子供の時に見たロボットアニメの再編集版というありさまだ(笑…

 最速の遺伝子

忙しいのは相変わらずだが、どうも尻の下がムズムズして落ち着かない。最近急にDucatiが欲しくてたまらなくなった。しかも、乗りこなすのに相当な熟練が必要な996シリーズ、それか998なんていい(厳しければ厳しいほど燃えるのだ!)。そう思い始めて、Webサ…

 ロッシの隠れ家

忙しい。すごく忙しい。お盆休み?何ですかそれ。海?ああ地上にはそんな場所もあるらしいですね。 わかっていて身を投じたどツボとはいえ、ここのエントリを書く時間すらロクにとれない日が続き、終わりの見えない余裕のなさにだんだん妄想気味になってくる…

 ボートレース

レーストラックを映し出すカメラのレンズを雨滴が覆い、まるで昔の吹きガラスの窓越しに見るように、風景のあちこちがゆがんでいる。イングランド中部の重たい空から落ちる雨の中をGPマシンが水しぶきをあげて駆け抜けていく様は、二週間前の晴れ渡ったカリ…

 Odds and Sods

ロッシ1.9倍、ヘイデン4倍、ジベルナウ5.5倍、メランドリ、エドワーズ10倍、ビアッジ18倍、ロベルト・ロルフォ400倍(!)──この数字は何かというと、“ジブラルタル系”オンライン・カジノ企業BetandWin.comにおけるイギリスGP公式予選結果のオッズである。こ…

 滋養強壮グランプリ

今シーズン前半戦の白眉(と言っていいだろう)、USグランプリがもう目の前だ。あの80年代の数々の熱戦の舞台となったラグナ・セカ、そして“名物”コークスクリューを現代のGPマシンが駆けるのかと思うと、かつてと比べ物にならないモンスターマシンへの一抹…

 妄想(長文注意)

昼の二時だというのに、その通りには人影がなかった。密集して建つ家々のどこかの窓から、かすかにテレビの音が漏れ聞こえてくる。アレックスは路肩に停めた車から降り、窓を開け放したままドアを閉めた。鍵はかけなかった。住居のあるモナコに置いてある特…

 25ポイントの値段

もはやコントロールタワーは、レースを止められない──“コースのあちこちで振られる白旗は警告ではなく、オフィシャルがレースを中断するという判断を放棄した“降参”の合図だ”──こんなニュアンスの一齣マンガが乗ったのは、Crash.netだ。 それもそのはず、レ…

 Water in the Glass

“コップの水をこぼすのはいったい誰だ?”──いよいよ開幕した2005年MotoGP開幕戦、スペインGPを観ながら僕の頭に去来していたのはそんなセリフだった。 序盤数周目にして40秒台中盤に達そうかという先頭集団──セテ・ジベルナウ、ヴァレンティーノ・ロッシ、ニ…

 ラストチャンス

いよいよ開幕まで後一日と迫った2005年シーズンMotoGP。僕なりに来るべきシーズンを占うとすれば──おっと、そんなことがまったくもってばかばかしくなってしまったのが昨シーズンの(もっといえば緒戦南アフリカGPの)教訓だ(苦笑)。しかしながら頭から離…

 ライダーたちの無人島

唐突に思い立って、この“はてな”のプロフィール欄をきちんと書いてみた(アドレスの最後に“about/”をつけることでそのページに行くことができる)。その際ひとつの遊びとして、MotoGP公式サイトの「ライダー」ページにある各選手への質問項目をそのまま使っ…

 GP Watches

「よく働いた」などの極めて主観的な理由で自分にご褒美を上げたくなる、というのは近年意識化されたヘンテコなメンタリティだが、僕にも忙しい時に限っていきなり物欲がやってくる。 年末進行に忙殺される中、ふと「そういえば久しく時計を買っていないなあ…

 許されざる誤訳

今朝、ベッドから出ずゴロゴロしていた僕のところに、朝っぱらからGPニュースを持って妻がやってきた。 「アプリリア、大変ね。バイク一台なくなっちゃったんですって」「ハア?」「マッコイの“Cube”がマレーシアのトランジットで行方不明になっちゃったらし…

 スクール・ボーイ

午後9時30分。夜の帳が下り、砂漠地帯特有の冷気がサーキットを覆い始めた頃、ゴロワーズ・ヤマハのクルーの一人はピットウォールの向こうで誰かが動いているのに気づいた。マックス・ビアッジがスタートする12番グリッド上をホウキで掃き、路面を覆ういまい…

 マモラのロサイル考

カタールGPは土曜開催なので、明日から予選開始だ。そんな中、Crash.netに「カタールGPのプレビュー」としてデモランを行なったランディ・マモラの感想が載っている。 Crash.netとMotpGP公式サイトの記事はソースが同じことが多いから、すぐにそっちに邦訳が…

 上海経由、カタール

普段ハイテク石鹸箱レースなどまず観ないのだが、珍しく番組開始時刻を待ちわびてF1の上海GPの放映をつけてみた。新設された上海サーキットを一目見てみたいというのがその理由だ。 来年5月1日(日)、この上海国際賽車場がMotoGPカレンダーの第3戦に刻まれ…

 OUT

じりじりとフライパンで焼かれるような暑さの中、アプリリアのブースでジェレミー・マクウィリアムスのサインをゲットした妻は上機嫌だ*1。125ccのチェッカーをグランドスタンドで見届けると(5コーナー席のチケットには、Bスタンドの指定券も付属している)…

 蛍光ピンクと心の傷

予選日はのんびり構えることにしているので、10時からのフリー走行に間に合わせようなんて無謀なことは思わずに、昼過ぎくらいにもてぎ着。 今年は訳あって大奮発、観戦場所は5コーナースタンドだ。延々と場内を走ってオーバルに直接クルマを乗り入れて、目…

 3種の神器

僕の引き出しには、ほとんど一年で一回しか使わないものというのが2つ入っている。一つはニコンの双眼鏡で、もう一つは携帯ラジオ。どちらもたいがいGP観戦の時だけ引っ張り出すものだ。 双眼鏡は遠くのマシンのゼッケンを読み取ったり、ピット作業を眺めた…

 マスター、マイスター

■ご注意■この記事には、8/22に行われたMotoGP第10戦チェコGPの結果が含まれています。もし衛星放送や地上波などでの録画放送まで結果をご覧になりたくない場合は、お読みにならないことをお勧めします。チェコGPの放送は・24日(火)G+ 25:30〜29:30・28日(…

 ビッグ・バン

古書典籍僕の仕事場にはかつてホンダの広報関連の仕事をしていたという人がいて、時折ホンダにまつわる80年代前後のグッズや貴重な印刷物をひょいとくれることがある。 フレディ・スペンサー(社内では“スペちゃん”と呼ばれていたらしい)が自身のライディン…

 日はまた昇る

登場!とんがりRCVホンダを応援していて面白いことの一つは、その強大な開発力にまかせて頻繁に投入してくるこれ見よがしな改良型マシンを楽しめるところにある(そしてまたNSRの10年間が示しているように、時にその改良がこっぴどい失敗に終わるのも、GPド…

 跳べないウサギ

シングル・ナンバーの雄姿かつて──そう、それはもう太古の昔のことのように思える──マシンのフロントカウルに輝くゼッケンは、そのライダーの前年度ランキングを表していた。しかし時代は流れ、先陣争いを繰り広げる'03ランキングトップの二人、セテ・ジベル…

 異端の魅惑

均質化するGPマシンモーターサイクルのメカニズムそのものに魅惑される類の人にとって、「コンベンショナルでない新しい構造」というのは常に興奮を誘う要素だ。それがかつて例のない手法であったり、また一見リーズナブルとは言えない手段であればあるほど…