蛍光ピンクと心の傷

Jet2004-09-19

予選日はのんびり構えることにしているので、10時からのフリー走行に間に合わせようなんて無謀なことは思わずに、昼過ぎくらいにもてぎ着。
今年は訳あって大奮発、観戦場所は5コーナースタンドだ。延々と場内を走ってオーバルに直接クルマを乗り入れて、目の前がもう観戦席なのでたいへん便利。要らん荷物は車内に置いておいて、必要とあればいつでも取りにいける。ただでさえあわただしい子供づれにはありがたいことこの上ない。
場内は、予選日にしては結構人が入っている。開催日が一ヶ月早まっただけでこんなに暑いとは…とこぼしながらメインスタンド方面へ移動し、物販ブースをめぐる。どれもおなじみのところなのでのんびり見ていると、ホンダさんのステージにレプソルRCV2台。
ああもう見慣れたシェイプだねえ…と思いつつもよく見れば、一台は件の'05年型レプソルカラーCBR1000RRじゃないか!実車を見て少しがっかりすることを願っていたのに、それどころかクラッとするほどカッコいい…。周りでも大勢の人たちが感嘆しながら眺めている。本気か嘘か「よーしこれ買おう」なんてつぶやいている人を背に、僕は心にふたたび傷を負ってその場を後にした(笑)。


ツインリンクもてぎ唯一のインフィールドスタンドである5コーナー席は、その値段にたがわず驚くほどコースを間近に見ることができる(コースサイド席には負けるけど)。鈴鹿の1〜2コーナー席をぐんと近くした感じとでも言えばいいだろうか。
去年は立体交差上のオーバル部分に大型ビジョンがあったと聞いていたのだが、今回はない。その代わりスタンドの各所にテレビモニターが置いてあるのだが、直射日光の下なのでそばに座った人以外はろくに見えはしない。
それはまあいいとしても、困ったのは場内放送が受信できないことだった。もちろんスピーカーはスタンドから手の届かんばかりのところにいくつも据えつけてあるのだが、爆音の中で内容を補足するためには、手元の携帯ラジオのイヤホンを耳に突っ込んでおくと万全なのだ。臨時に増設されるインフィールドスタンドの欠点といったころだろう。
予選は周知のとおりラスト一分、玉田の劇的なPP奪取で幕を閉じたが、僕は手元のストップウォッチでせっせと蛍光ピンクのど派手な宇川車のラップを計測していた。思ったとおりこれはこれで楽しい作業なのだが、肝心の'05年型RCVプロトタイプはろくでもないタイムを連ねるばかりで、中盤以降で驚きのアドバンテージを見せつけてくれるかも…と期待していた僕はすっかり肩すかしを食らった感じだった。
双眼鏡で遠くの電光表示板を眺めて情けない宇川車の順位を確認していると、ピエール北川の絶叫が場内に響き渡った。何事かとテレビモニターをのぞきこむと、玉田が赤メット。セクション2、セクション3と赤が連続するごとにスタンドの興奮度も上がり、ついに46秒台でフィニッシュしたところで周囲も全員大拍手だ。

夕方ジベルナウ、玉田、宇川、ヘイデンが来るというので「生(なま)セテ見たい」という妻を連れて人ごみをかき分けホンダブースへ。しかし3rdグリッドに沈んだ失意のジベルナウはやはりというべきか、姿を現さなかった。
玉田のトークの後、愛嬌あふれるヘイデンとともに現れた我らが宇川徹は、来年はGPに戻って来たいですか?と聞かれても「そんな甘い世界じゃないんで」「このへん走ってるようじゃまだまだですね」と相変わらず。05RCVどうですか?と言われても「企業秘密ですw」(あたりまえか)。挙句に「もてぎはぜんぜん好きじゃないんです」と夢も希望もないことを言って帰ってしまった(笑)。
こりゃ何を希望に応援すればいいやら、と苦笑しながら、僕は翌日ピンクのRCVを待ち受ける結果に思いを馳せたのだった。