上海経由、カタール

普段ハイテク石鹸箱レースなどまず観ないのだが、珍しく番組開始時刻を待ちわびてF1の上海GPの放映をつけてみた。新設された上海サーキットを一目見てみたいというのがその理由だ。
来年5月1日(日)、この上海国際賽車場がMotoGPカレンダーの第3戦に刻まれていることは周知の通りだ。まだ発表されたスケジュールは暫定なのだけれど、開催されることは間違いない(代わりに南アかリオのどちらかがカレンダー落ちするらしい)。
テレビに映る上海サーキットは、いかにも新設らしくどこをとっても超近代的な施設が目を引く。コース幅も広く、アップダウンもそれほど多くない。これはジェットコースターのように高く傾斜の強い観戦スタンドからコース全体が見渡せるようにという配慮もあるのだろうか。
1コーナーは下りながらゆるやかに曲がり込んでいて、こういうレイアウトなら例のもてぎの6台クラッシュのような悲劇は起こりづらいだろうな、とつい考えてしまう。その後もザクセンリングを思わせるタイトなコーナーが連なるが、その後にはかなりの高速S字が控えていて、マシンによってはセッティングに手間取りそうだ。
その後に短いストレートを挟んで90度コーナーがあり、最初の抜きどころとすればそこなのだろうか。その後長いバックストレートがあるのでここも仕掛けるポイントかも…と思うが、その先はセパンなんて比較にならないほどキツイV字コーナーだから、勝負はむしろその立ち上がり、最終コーナーに向けていかに車速を乗せられるかにかかってくるかもしれない。とすれば最後の大逆転、なんてこともあって面白そうかも……?


とまあ、近代的でF1を意識したサーキットってのは結局どこもストレートエンドのブレーキング競争か立ち上がり勝負になって、コーナーごとに順位を入れ替え丁々発止、なんて二輪的面白さには無縁になってしまうのは仕方ないところか。
その反面、同じ新設でも一週間後に迫ったカタールGPの開催地、ロサイル・インターナショナル・レーストラックはどうなのだろう。7月のオープニングセレモニーで2シーター版ドゥカティ・デスモセディチでデモランを行ったランディ・マモラは、抜きどころの多い面白いサーキットだといっている*1(本音かどうか知らないけど)。
僕も最初見た時は今一つ刺激のないレイアウトかと思ったが、ちゃんと見れば6つの左と10の右、それぞれ異なる性質のコーナーに1Km以上のストレートと、なかなか面白そうだ。聞けば二輪専用設計だということだから、かなり期待していいかもしれない。

とはいえ、誰もが心配なのは中東国カタールでの開催ということで、その気温や路面コンディションだろう。僕もはじめは、タイヤはドロドロ、ライダーは熱中症、エアボックスは砂でつまり、マシントラブル続出の大波乱GPになるかと思っていた(最初はナイトレースになるって言う噂もあったっけ)。
……とはいえよく調べれば、カタールは10月から4月までは「冬期」とされていて、日中の気温が40度を超えるという夏期とはイメージがちがうようだ。手元にある帝国書院の世界地図によれば*2、ほぼ同じ緯度にあるサウジアラビアのリヤドで10月の平均気温が27.3度だから、思ったより心配はいらないのかもしれない。
また中東=砂漠というイメージがあるが、カタールの国土の大部分は石灰岩の荒野で、砂漠は南部の方にちょっとひろがるだけ、という情報もある。コースCGを見ても特に防砂に気を使っている風はないことから、これも他のほこりっぽいサーキットと同程度、と考えればいいのかもしれない。
いずれにせよ、一週間後にはそれを直に目にすることができるのだ。記録のない新サーキットのレースの行方が今から楽しみだ。

*1:それより驚いたのは、このレセプションの最後に60人を超す“現地のカタール人ライダー”がパレードランをしたということ。いるんだ、中東にも…ライダー(失礼)。
http://www.roadripping.com/html/article110.html

*2:高等世界地図というものは実によくできていて、値段や厚さに見合わない量の情報がつまっている。学校を出て久しい人でも、コレ一冊あるだけでニュースの見方一つでもぐんと拡がるのでお勧めである。