3種の神器

Jet2004-09-16

僕の引き出しには、ほとんど一年で一回しか使わないものというのが2つ入っている。一つはニコンの双眼鏡で、もう一つは携帯ラジオ。どちらもたいがいGP観戦の時だけ引っ張り出すものだ。
双眼鏡は遠くのマシンのゼッケンを読み取ったり、ピット作業を眺めたりできるし、携帯ラジオはコースを離れていても実況を聞いてレースの進行をつかむことができる。こう書いてもわかるように、いずれも主に鈴鹿8耐のような観戦中に場内をうろつく耐久レースを想定して持っているものだが、MotoGPにもしっかり持っていく*1
日本GP(この言い方、まだ慣れないなあ)を目前に控えて、僕はその「GP用具」の中に加えるべく生まれて初めてストップウォッチなんて物を買ってきた。
何をするかって?決まってるじゃないですか。目の前をマシンがすっ飛んでいくと同時に「チッ」と腕を振り、ストップウォッチを見て「……なんだって!」と青い顔をするためだ(笑)。気分はイチノセRTの太田クンである*2


いっぱしの観戦玄人きどりでこんなものを手に入れたのは、以前高橋裕紀のチーム監督である五百部徳男氏が「ストップウォッチを持って見るとレースの面白さが全然違う」と述べていたのが印象に残っているからだ。
予選やレースの最中、ライダーはそれぞれの作戦やコンディションによって複雑に周回ペースを変えていく。ストップウォッチで「チッ」とやることで(デジタルだから音なんてしないけどさ)、そのライダーが一体何を考えながら走っているのか、次にどうするつもりなのかを読み取れる、というのである。
もちろん僕は、コンマ数秒のわずかなラップ変化がもたらす意味なんてろくにくみ取れないに違いない。それに大型ビジョンに場内FM、無線LAN対応のラップトップを持ち込めばすべてのライダーのラップすらリアルタイムで受信できるというこの時代に、そんなものを使わずとももっと濃い情報はいくらでも入手できる。
でも、目の前をすぎるライダーのヘルメットの奥に隠された“意図”を、モニタービジョン越しの数字でなく生で切り取り、感じる──手元のストップウォッチはそんな感触を与えてくれるのでは…と思ってみたりもするのである。
出発は土曜日だが、携帯ラジオのプリセットはすでに77.5MHz*3にセットしてある(笑)。年に一度のスペクタクロは、いよいよだ!

*1:スプリントレースではピットインもないし、たいがい興奮していて双眼鏡でマシンを見ている余裕があまりない。スプリントでも携帯ラジオは使うと場内スピーカーとのサラウンドになって放送がよく聞こえる、という利点はある。

*2:巨摩郡の…と、説明はやめよう。自分でもバカみたい(笑)。

*3:ツインリンクもてぎの場内放送周波数。