空飛ぶウォトカ

Jet2005-10-21

10月に入って春以来続いた仕事の修羅場もようよう終了したはずなのに、不思議なことに時間がない。いろいろあるにせよ、まあこういう状態が“いっちょまえの大人”なのだってことにしておこう。
というわけで、かくも長き不在、のABモータース。大変失礼をばいたしました。日本GP以来4戦も過ぎてしまった今、全くバイクには関係のない話でもつらつらとして、いつもながら復活の端緒とさせていただきましょう。
──いや、以下ほんとに単なる左党談義ですから(笑)。


もう一年半くらい、“全国の酒蔵から銘酒が送られてくる”って便利なプログラムに申し込んでいたのだが、先日「固定費の削減」を名目に終了(笑)。まあ実体は、あまりにもフルーティな純米大吟醸とかばかり送られてくるので、気がつくと“骨のある”酒を受けつけなくなっていてこりゃマズイ軌道修正しなきゃ、ってことなのだが。
感謝してもしたりない妻の家計的努力によって、わが冷蔵庫にラガービール*1の切れることは無いのだが、とはいえそればかりではいられない。一週間の疲れを癒す週末ともなれば、少し変わった酒でも聞こし召してみたくなる。それに、最近は蒸留酒系にとんとご無沙汰だ。
というわけで、僕は仕事帰りにふらりと酒屋に寄って、好物のウォッカを査収することにした。丁度家にあるFinlandiaがあと数滴しかないのだ。
ウォッカといえば大抵SMIRNOFFを思い浮かべる人が多いかも知れないが、僕がイチ押しするのはこのフィンランディアである。スムースで癖がないわりには香り高く、僕のようにカクテルベースにしない場合にもじつに味わい深い。ジェームス・ボンドマティーニのベースにする定番はスミノフだったのに、『Die Another Day』以降はこのフィンランディアに切り替わっているので知っているむきも多いだろう*2(おっと、なんかオッサンが得意げに語るウンチクみたいになってきた…)。
──と、驚いたことに立ち寄ったリカーショップではフィンランディアを置いていないではないか!失望のあまり帰ろうかと思った矢先、目に入ったのはそう、GPファン諸氏ならおなじみであろう「SKYY VODKA」である。
おお懐かしい、こいつは、2003年までは日本GPや豪GPをスポンサードしていたスカイ社の洒落たウォッカである。昔から興味はあったのだが、他と比べてちょっとばかり高めなので敬遠していたこの酒、味わってみるのも悪くはない。僕はブルーのすらっとした瓶をつかみ、ついでにGuinessを2缶ほどカゴに放り込むという贅沢をして(給料日前だというのにw)、家路を急いだ。

マイサンを風呂に入れるなど諸事を済ませた後、ようやく遅い夕食のテーブルにつく。クリーミィな泡をシズル感いっぱいに表現した車内広告にやられて買ってみたギネスまずを味わった後、カリフォルニアの空をイメージしたというこのアメリカ産ウォッカの美しいボトルのご開陳だ。
僕はウォッカをロックで飲むのを好む。2〜3年ほど前、疲れのあまりカクテルに凝り出して(酔うのが早いからw)、ベースのスピリッツから道具一式からシロップ類まで軒並みそろえたことがあるのだが、甘ったるい味わいのものはあまり性に合わず、体脂肪15%を維持するためにもちょっとシロップってのは抵抗があった(え?それならそもそも飲むなって?)。
しかし中でも結局性に合ったのが「ジン&ビター」 というやつ。グラスを水で湿らせ、そこにアロマティック・ビターを数滴振る。それをグラスの内側に指でさっと塗り、氷をざっと入れて、そこにジンを注ぐ。ビターの渋い香りと、ジンのピリッとした味わいが合わさってじつに芳醇で、それでいて男臭い(笑)。
以来、僕はウォッカにもこのビターばかり多用している。とはいえ外で飲むときはビターがあるとは限らないので、ロックにしてライムだけ添える、という感じだ*3
はてさて、GPファンとして初めてのスカイウォッカは──じつにストレート。4回蒸留して3回もろ過するという手間のかかる工程を経るのがこの酒の特徴らしいが、その凝った課程の示す通り、澄みきった味わいだ。クセがない、といえばそれで済んでしまうが、上品と言い換える方が適している気がする。ストレートやロックも悪くないが、ビターのみならずいろいろな味の組み合わせを楽しみたくなる。
すっ、と咽に入る味わい。続いて“胃の腑”からほんのりと立ち上がる温かさ。ビールや日本酒では得られない、蒸溜酒系ならではのこの済みきった感じが僕は好きだ。日本酒はつまみありきだが、こうした蒸留酒はアルコールと人間の根源的な関係をすごくはっきりと味あわせてくれる。
心地よい酔いに任せてトルコGPのFP結果を見れば──おっと、久しぶりのホンダ1-2-3!こいつは先が楽しみだ。というわけでみなさん、トルコが終わる頃に再び!

*1:あ、これは「キリンラガー」ということではない。ウチはサントリー党である。工場も近くにあるし(笑)。

*2:もちろん強力なタイアップ戦略によってだけど。

*3:実はこうしたジンのストレート飲み、80年代の映画『St.Elmo's Fire』で若き日のデミ・ムーアがでかいグラスからぐいぐい飲んでいたのを「かっこいー!」と憧れて以来、というのは恥ずかしい秘密である