ウェブログ名の由来

ヘッダにもある通り、「ABモータース」というこのウェブログのタイトルは、バイクとは何の関わりもないアニメ『アタックNo.1』(1969/12/07〜1971/11/28 CX 全104話)の第81話「真夜中のワンセット一本勝負」から取られている。このアニメのだいたいは知っていても、この話まで憶えている人は稀だろうし、さらに「ABモータース」の名前を記憶しているとなると…かなりのマニアか好事家である。
アタックNo.1」81話周辺のストーリーはこうだ。主人公鮎原こずえの所属する富士見高校バレ−部は、全国大会優勝の記念に京都旅行へ出かける。しかしそこで、マヤという女頭領率いる「マイティーシックス」というカミナリ族*1に因縁をつけられ、ついにはなんとバレーボールの試合で対決することになる。その会場としてこずえ達が呼び出されたのが、マイティシックスが拠点とするバイクショップ「ABモータース」なのだ。
このABモータースのテストコースを利用して試合が行なわれるのだが、サッカー、空手などそれぞれの出身競技を生かした殺法型プレーを繰り広げるマイティーシックスの面々に、日本一強いバレーチームであるはずのこずえたちはさんざん翻弄される。コートの周りには黒煙をまき散らしながらぐるぐるとマイティーシックスのバイクがローリングし、さながら金網デスマッチだ。
そんな中、苦戦しつつもしっかりと戦略を立てて最終的な勝利をモノにするこずえたちの姿は一見の価値ありだが、ツボに来たのはそこじゃない。
さかのぼって、このABモータースに到着した時、部員の一人が言う。
「ココだわ。ABモータース」
その看板を見て、「チームで一番の秀才」とされている女の子がさりげなくつぶやく。
「『オートバイ』のABね」
…このセリフに僕はもってかれてしまったのである。周知のように、「オートバイ」は「Auto(自動)」と「Bicycle(二輪・自転車)」が合わさってできた和製英語*2。それをあっさり「AB」と縮めてしまうセンス、それを涼しい顔で「オートバイの略ね」などと看破させられる「秀才部員」、「でも正しくはMotorcycleだから、MCモータースであるべきだわ」などという余計なセリフを書かない脚本家、そしてつまりは「オートバイ・モータース」だというやる気のない設定が混然となって、僕の鼻腔の奥を刺激してやまないのである。
以来この名前は、マヤたちがバイクのエンジンをかけて走り出す時に毎回律義に放つ「レッツ・ゴー!マイティーシックス!」という掛け声と共に、僕の中の「不要だが捨てられないモノ」の引き出しにしっかりとしまわれてしまった。どこかでこれに始末をつけなければならない。この言葉で何か再生産を行い、消費してしまわなければならない。その結果が、このウェブログのタイトルなのである。
ちなみにこのマイティシックスとのエピソードは、その試合が原因で破傷風にかかり「破傷風→血清ない→間に合わないと足切断」というわかりやすいクライシスに巻き込まれたこずえを救うため、マヤが嵐の中病院へバイクを飛ばして血清を届け、二人に姉妹仁義的友情が育まれる第82話「とばせマイティシックス」へとつながり、そして何よりもその入院でこずえの想い人となり、最終回まで影響を及ぼす「口笛のあいつ」との出会いを生む重要な挿話でもある。映画版では当然のようにカットされていたのが惜しまれるかぎりだ。
レッツ・ゴー!マイティーシックス!昔の暴走族は、ちゃんと速かったのだ。

*1:カミナリ族に関してはこちらを参照。http://www.kaminari.gr.jp/jan/tokumei-1.html

*2:MCNhttp://www.motorcyclenews.com/などで日本の『オートバイ』誌が引用される時には"Autobi"などと表記されていて、イタリア語みたいで面白い